Around Edgy / Japan

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EDGY JAPAN・新たな日本の強みを世界へ/2

by Hiroki Yanagisawa on March 20, 2011 7:59 PM

※本コラムは香港のITサービス企業、Internet Solutions Limitedのニュースレターにて連載している、EDGY JAPANの成り立ちを描いたコラムです。


〜第1話はこちらからご覧になれます。

 EDGY JAPANの起点。それは、2009年5月に舞い込んできた一本の電話でした。

「香港のショッピングモールから作品の展示の依頼があったんだけど......。香港育ちなんだし手伝ってくれないか?」

 電話の主、井上萌子さんは当時、東京造形大学の大学院に通っており、CASA PROJECT(http://casaproject.com/)という「不用になった傘を新しく生まれ変わらせるプロジェクト」の発起人でもありました。街中に放置されている傘を回収し、傘の布やフレームを用いてバッグ、エプロン、カーテンといった、製品を創り上げているのです。この取り組みがユニークなのは、プロジェクトの主眼が製品を作るというよりは、「製品を通じて、クリエイティブでサステナブルな未来を啓蒙する」という点に重きが置かれていること。このような未来を据えた視点が注目を浴び、メディアでも活動が取り上げられていました。

 そんな彼女の元に香港の大手デベロッパー、サンフンカイ・プロパティーズがクントン運営するショッピングモール、apmモールから一通のメールが届きました。

「中秋節で傘の布を用いた、CASA PROJECT流のランタンを制作してもらえないか」----。

 香港のショッピングモールでは集客のために常時イベントや展示を開催していることで知られていますが、9月は中秋節のイベントとして巨大燈籠----ランタンを展示する傾向にあります。

 近年は環境に対する意識が徐々に高まってきている香港。そこでモール側も「環境配慮型である姿勢をアピールしたい」という思惑の元、井上さんの「リサイクル」をテーマとした製品に目をつけたわけです。(後に、井上氏のことをどのようにして知ったのか尋ねたところ、シンプルに「インターネット」という返事が。apmプロモーションチームのリサーチ力を思い知らされました。)

 そこで私、柳澤はプロジェクト・コーデイネーター兼プロデューサーとして本展示プロジェクトに関わることになりました。

 apmからの要請は4つ。1:ランタンの制作:高さ2.5メートルの巨大ランタンを3体 2:これまで製作した傘の布でできた製品15点を展示 3:子どもを対象としたワークショップの開催 4:現地での記者会見、取材対応。また、後の交渉で展示期間は9月29日から10月11日に決定しました。

 井上さんと私は、9月26日に香港へ移動し設営。設営時は先方が制作したランタンのフレームが、こちらの指定したサイズと異なり急遽補修作業を行いましたが、2.5日を経て設営が完了。29日にお披露目のイベントが行われました。この日から取材が相次いだのですが、驚いたのが取材陣の数。井上さんは香港でこれまで無名の存在であったのにもかかわらず、10社の取材をこなしました。しかもapm mallはTimes Squreやifc mallと比べ比較的地味なモールという印象。ここまでのプレスを呼ぶことができたというのは、いい意味で衝撃的でありました。

 また、展示中は絶え間なく通行者がケータイやデジカメで展示を写真撮影する光景を目にしました。これらの写真はFacebookやTwitterなどで拡散され、モールとしてもクチコミを狙ったプロモーションとしては、この上ない成果を上げることができたのではないかと思います。

 この一連のイベントを終えて感じ取ったことーー。昨今、日本のメディアでは日本の国力や世界に対する日本人のプレゼンスの低下といった悲観的な報道に溢れていますが、「しかるべきところに適切なコンテンツを差し込んでいけば、まだまだ日本発のコンテンツは海外で十二分にプレゼンス勝ち取れる」。まだまだ、日本はイケると自信を持ちました。

 このような日本人として糧になるイベントこなし東京に戻ったところ、3週間後にまたapmから連絡がありました。

「有名ファッションモデルを再来週香港に呼べないか」

 このような、唐突な依頼が舞い込んできたのですーー。(続く)


柳澤大樹(やなぎさわ・ひろき)EDGY JAPAN(www.edgyjapan.jp)代表。EDGY JAPANではウェブサイト上で日本のエッジの効いた人、物、場を英語で紹介し、つなぐサービスを提供。これまで香港ではクントンにあるapm mall(サンフンカイ・プロパティーズ)で、日本人のクリエイターを起用したイベントのコーディネーションやプロデュースを担当。その他企業や教育機関に向けた、エッジの効いた日本コンテンツの紹介や導入をサポートしている。1978年、東京生まれ。香港と米国で育つ。現在は東京と香港の両都市を拠点に活動。hiroki (at) edgyjapan.jp / www.edgyjapan.jp / @edgyjapan

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